LOGIN俺は家に帰ると着替えて買出しに出かけた。 いつものようにATMで必要な金額を下ろしそのままスーパーへ… 適当に買い物を済ませ家に戻った。買ってきたものを冷蔵庫にしまい終えた頃 チャイムが鳴った。 「はい?」 そう声を掛けると 「宅配です。印鑑お願いします」 そういわれ俺は扉を開ける。母から届くいつもの荷物だった。 印鑑を押しそれを受け取った。箱を開ければいつもの様にタバコとビール。 それをいつもの場所に片付けた。そして二階に戻ると吉田の出した課題をカバンから取り出しやり始めた。すべての課題をやり終えシャーペンを置き俺は背伸びをする。 「ん~! 終わった~!」 さすがに大量だったなぁ~。コンコン俺が背伸びした途端扉がノックされて後ろを振り返れば拓ちゃんがいた。 「拓ちゃん来てたの?」 それには俺も驚いた。「あぁ。生徒会が終わってそのままこっちに直行した。そしたら凄い集中してやってるから声かけずに勝手に風呂借りた」 俺の傍に来て言う。ボディソープの香りが鼻をかすめる。 「声かけてもよかったのに」 俺はそういう。 「さすがだな。この量を1日で終わらせるなんて。伊達に毎回A組トップの地位をキープしてるわけじゃないな。晩飯食べてないんだろ? 何か作るか?」 拓ちゃんは課題のプリントを見ながら言う。 「ん~。あんまり食欲ないよ俺」 俺は素直に答える。本当に食欲がないんだ。 「軽く食べるもん作ってやるから風呂入ってこい」 拓ちゃんがそう言ってくれるから 「うん。そうする」 俺は着替えをクローゼットの中から取り出す。 そして俺たちは部屋を出た。俺は風呂から上がりキッチンに向かう。キッチンに入ると拓ちゃんが 「野菜たっぷりスープ。これぐらいなら食べられるだろ?」 そう言ってテーブルの上に皿を置く。 俺は椅子に座り 「うん。多分、大丈夫。いただきます」 俺はそう言って食べ始めた。「ん~、んま~い。何で拓ちゃんの料理はこんなに美味しいの~!」 俺はそう声をあげた。本当になんでこの人の作る料理は美味しいんだろうね。 「愛情たっぷりだから」 なんて拓ちゃんからそんな言葉が返ってくる。 予想外の返事に俺は真っ赤になった。「そこで照れるか? 本当のことだぞ? もっとも、お前限定だけどな」 拓ちゃんはリビ
学園の前でバスを降り溜め息をつく。いつもの行為。 偽りの織田蒼樹を演じるための行為。「行くか?」 翔太の声に俺は 「う~い」 そう返事をして歩き出す。「あ~蒼樹~だぁ~!」 「織田ぁ~逢いたかったぁ~!」 教室に入るなりみんなからの抱擁。「あ~はいはい。ありがとねぇ」 俺はそれを軽くあしらって自分の席に着く。 「そういえばそれ…。金城が頭になったときに着けてた奴だろ?」 急に翔ちゃんが言う。この人、記憶力いいのよね。意外と… 「ん。前に同じものくれたんだけどさ。自分で着けた方くれたんだよね。大事なもんじゃないのかな?」 俺はそう答える。 「大事だから送ったんじゃねぇの? まぁ仲直りしてよかったというとこかな」 翔太はそう言って俺の頭を撫でる。 「ん。心配掛けてごめん。ありがと」 俺はそう答える。「織田。ちょっといいか?」 急に呼ばれドアの所を見れば拓ちゃん。 「はいは~い。何でしょ?」 俺は拓ちゃんの所に行き聞いてみる。 「臨時要員の仕事。悪いけど放課後までに体育祭のプリント集めてくれないか?」 拓ちゃんはそういう。 「あ~い。了解しました会長」 俺はふざけてそういう。 「馬鹿。頼んだぞ」 軽く俺の頭を叩き教室を出て行った。俺は拓ちゃんに頼まれたとおり 各放課になるとそれぞれのクラスに行って周り「体育祭の実行委員いる? プリント欲しいんだけど?」 俺はそう声を掛ければ 「は~い」 返事をして実行委員の子がプリントを持ってきてくれる。 「ありがとねぇ」 俺はそう告げると次のクラスへと向かっていった。「織田。ちょっといいか?」 全部のクラスを回り終えたとき吉田に声を掛けられた。 「何でしょうか?」 俺はそう聞いてみる。「金城から聞いたが体調はもういいのか?」 そう言われる。 「え? …あ…大丈夫ですよ。だから来たんだけど?」 俺はそう答える。ずっと拓ちゃんが病欠扱いにしてくれてたんだ… 「まだ治らないのか?」 そう聞いてくる。 「治らないんじゃない? もう無理なんじゃない?」 俺はそう答える。多分、無理だろうね…。 「そうか…。あぁ。後で職員室に来い。休んでた分の課題を渡すから」 吉田はそう言って戻っていった。課題か…。めんどくさ…。 でもまぁ自業自得だよな。ずっと
pipipipipipipi 携帯のアラームで目を醒ます。 そこにはやっぱり拓ちゃんの姿はなかった。あれは夢だったのかな?あれは幻だったのかな? 俺はぼーっとする頭のままで下におりていくと キッチンからおいしそうな香りが漂ってきた。急いでキッチンに飛び込んだ。 そこには拓ちゃんがご飯を作っている姿があった。「拓ちゃんおはよ」 俺はそう声を掛ける。 「あぁ。おはよう。もう出来るぞ」 拓ちゃんはそう言って皿に盛り付けている。今日のメニューは野菜炒め。 だって最近、買い出しに行ってないんだもん。 学校サボって引きこもりになってたしさ。本当に外出もしてない。「お前それ全部、食べろよ? 冷蔵庫の中身まともなもん入ってなかったぞ」 なんてやっぱり拓ちゃんに怒られた。 「は~い」 俺は大人しく椅子に座る。 確かにここ最近まともに食べてない。 薬も飲んでない。バレたら怒られるよね。「いただきま~す」 俺はそう言って食べ始めた。勿論、拓ちゃんもね。そしてお決まりどおり片づけまでやってくれました。「今日は学校出てこいよ?」 一度、制服に着替えるために帰る拓ちゃんが言う。 やっぱりサボってたのばれてるのね。 「うぃ」 俺は頷く。拓ちゃんは俺を引き寄せるとそっとキスをして 「学校でな」 そうれだけ言って帰っていった。「ったく。不意打ちすぎ」 なんて言いながらも浮かれてる俺。自分の部屋に戻り制服に着替える。チャリって音がする。首に着けたままになってる拓真からのプレゼント。俺はそれを見てふと気付いた。 「これ俺のじゃない。いつの間に変えたんだろ?」 それは新しかったあのペンダントではなく拓ちゃんがずっと着けていた方のペンダント。 「忍者みたいだよ拓ちゃん。ただ単に俺が気付かないだけか」 俺はそう呟きシャツのボタンをいつもの場所まで嵌めてネクタイをつける。 いつものだらしない格好。 これでA組だって言うんだから最悪だよな。わかっててもちゃんと着ないけどさ。 メガネメガネ~。拓ちゃんの着けてたメガネ。 それを嵌めて変身完了!偽りの織田蒼樹の完成!「さぁ~。今日は説教でも聞きますかね」 多分、吉田からの説教が待ってるだろうな。 1週間もサボったもんな。俺は必要なものをポケットに押し込みカバンを持って部
「GoldWolfの前の頭の人は今どうしてるの?」 俺はふとそんなことを聞く。 「白血病なんだ。ドナーを待ってる。俺の実家が大学病院だからそこで入院中」 うえぇ~! 「拓ちゃんの家って大学病院なの?」 すご…。 「GoldWolfのことを黙ってたのは悪かった。だけど俺はお前が蒼華だから好きなわけじゃない。織田蒼樹だから好きなんだ」 拓ちゃんがそういう。そっか…そうなんだ…「ねぇ…拓ちゃん…気付いてる?」 俺は聞いてみる。 「何をだ?」 拓ちゃんは聞き返してくる。 「誰にも媚を売らない蒼華が唯一媚を売るのが誰か? 二度と同じ相手には抱かれない蒼華が何度も同じ人に抱かれてるのか?」 俺はそう聞いてみる。 「俺のことなのか?」 拓ちゃんが躊躇いがちに聞き返してくる。 「そう。俺さ…あなたの前じゃ蒼華じゃいられない。だって…俺…あなたの愛が欲しいんだ。本当の俺を…闇の蒼樹を愛して欲しいんだ…」 俺はそう答える。無言のまま拓ちゃんがジッと俺を見詰めてる。 「なら問題ない。俺は織田蒼樹が好きだから…俺の愛をお前にやるよ。これからもずっと…」 拓ちゃんはそう言って笑ってくれる。 願い叶っちゃった。でも…俺… 「今のままでいんじゃないのか? お前が納得できるまでさ」 まるで俺の心を見透かしたように拓ちゃんがいう。ホント、翔太並みにわかって来てるよねこの人。 「うん。ありがと。でも…あなたが好き…愛してるのは本当。俺…いつかちゃんとあなたの前で本当の俺を見せたい。本当の俺をちゃんと知って欲しい」 俺はそう告げる。拓ちゃんが俺の頭を撫でて 「待ってる。お前が自分で俺に教えてくれるのを待ってる」 優しく言ってくれる。 「…ねぇ…キスして…拓ちゃんのキス好きだから…」 俺はそうお願いしてみた。拓ちゃんは小さく笑い俺の頬に手を添えそっと唇を重ねてくる。 触れるだけのキス。「…好き…」 唇が触れそうな距離で呟いた。 さよならなんて…おしまいになんてできっこない。「俺も蒼樹が好きだ」 拓ちゃんはそう言って俺をそっと抱き締める。 俺は拓ちゃんの背に腕を回した。「あ~悪いんだけど今度一緒に実家に来てくれないか?」 拓ちゃんが突然そういう。 「ほえ? 何で?」 俺は拓ちゃんの肩に頭を乗せ聞いてみる。 「姉貴がお前のこと
「どうして? …あの人は?」 俺はボケッとしながら拓ちゃんを見る。拓ちゃんは、 「中でゆっくり話さないか?」 冷静に聞いてくる。俺は小さく頷いた。「何か飲む?」 リビングのソファに座った拓ちゃんに聞いてみる。 「いいからこっちに来いよ。全部お前に話すから」 拓ちゃんが言うから俺は大人しくそれに従った。 拓ちゃんは俺の手を掴むと自分の隣に座らせた。「あ…あの女の人は…よかったの?」 今更だけど…つい聞いてしまう。「あぁ、いいんだ。俺の姉貴だから」 拓ちゃんのお姉さん… 「えぇ? お姉さんいたの?」 つい驚いてしまう。 「あぁ、上に姉貴が二人と兄貴が一人な」 拓ちゃんがそう説明をしてくれる。そうなんだ… 暫くの沈黙…「GoldWolfの事は苗代に聞いたのか?」 静かに拓ちゃんが聞いてくる。 「翔ちゃんもだけど…チームの人に拓真が戻るように頼んでくれって…それで初めて知った」 俺は床を見て答える。 「そうか、あいつらお前の所までいったのか…」 拓ちゃんの呆れたような声。 「戻らないの?」 聞いてみる。 「あぁ、戻らない。戻る気はない」 ハッキリと言い切った。「なんでGoldWolfを辞めたの?」 俺は聞いてみる。 「俺がGoldWolfにいたのは高1までなんだ。頭をやってたのも3年だけ。初めは三嶋さんって人がやってたんだけど、病気で入院することになったから俺に頼んできて断れなくてなったんだ」 拓ちゃんがいう。あれ? 「翔太と変わらない? もしかして翔太とは面識あり?」 俺は聞いてみる。拓ちゃんは苦笑を浮かべながら頷く。ノ――――!そんな繋がりがあったのか! あいつ知ってて俺に話さなかったな!「三嶋さんが頭のときから内部で対立が起きててな。争いを好む者と好まない者と…俺は普通に走っていられれば良かったんだ…」 拓ちゃんは小さく息を吐く。 「ねぇ…もしかして…雅たち三人もメンバー?」 俺は聞いてみる。拓ちゃんは静かに頷く。あぁ、だからあんなに親しいし、お互いのことがよくわかるんだ…「俺が頭になった頃から対立がますますひどくなってな、情けないけど荒れまくった。誰彼かまわず喧嘩を吹っ掛けてたんだ。雅たちはそんな俺のこと気にしてて…ただ走ることができないんだったらやめちまおうって他の奴に頭を押し付
夜、俺は久し振りに街に出た。 本当は翔太のところに行こうかなぁ~って思ったんだけどやめてブラブラしてた。 「あの、蒼華さんですよね?」 急に声を掛けられ振り返れば不良さんたち。 ケンカですか? 「そうだけど何? 喧嘩なら買わねぇぞ?」 俺は言い切る。 「違います。少しだけ時間をください。話がしたいんです」 あれ? 違うの? 「まぁ、いいけど…。この先に人のこない路地があるからそこでいいだろ?」 俺はそう言って歩き出した。俺の後を数人の不良さんたちがついてきた。 はて? 俺に一体何の用でしょうかね? 「で? 話って?」 俺は路地から死角になる壁に凭れて聞いてみる。 「金狼さん…金城拓真さんをご存知ですよね?」 拓ちゃん? 「彼が何?」 なんでそんな名前が出るんだろう? 一体、彼がなんだというんだ? 「お願いです、彼にチームに戻るように言ってください」 はっ? 「ちょっと待った…チームって何?」 どういうこと? 「ご存知ないんですか? 金城さんはGoldWolfの前の頭なんです」 拓ちゃんがGoldWolfの頭だった…ZEAと二分するあの暴走族の… 「そ…そんなの本人に言えばいいだろ」 知らなかったよ…拓ちゃん… あなたは何が目的で俺に近付いたんだよ? 俺を陥れるため? 俺を嘲笑ってるのか? 「お願いします。もう、あなたしか頼めないんです。金城さんと親しい人にはみんな頼んだんですけど…全部ダメで…このままじゃ…チームがダメになっちゃうんです」 それを俺に頼むの? この俺に… 「言ってみるけどダメでも知らねぇからな」 俺はそう答える。 もう終わりにしよう。全部。 「ありがとうございます!」 お兄さんたちは嬉しそうに頭を下げる。 「ほいじゃ、そういうことで帰るから」 俺はその場所を後にした… あなたはなんのために俺の前に現れた? なんのために… 俺は夜中に拓ちゃんの携帯に電話をした。 『もしもし? どうした?』 数回のコールの後で拓ちゃんが出た。 「騙してたんだ。拓真がGoldWolfの頭だったなんて知らなかったよ」 俺はそう切り出す。電話越しに息を呑むのが伝わる。 『蒼樹、俺は…』 拓ちゃんの言葉
毎度のことながら怒涛の如くテストも終わり答案用紙が返された。そして、毎回恒例の順位表が廊下に貼りだされていた。「やっぱお前ってムカつく」 順位表を見て翔太が呟く。 「なんで?」 言わんとすることはわかってるけど、つい聞き返しちゃった。 「あの結果だよ! なんでお前あんなに成績がいいわけ? 普段、授業はサボるは、話は聞いてないは、寝てるはってしてるヤツがよ!」 張り出された紙を指さし言われた。 「イヤ、ほら、翔ちゃんだっていいじゃん?」 俺は翔太も人のこと言えないだろって意味を込めて言い返した。実際そうだしさ。 「お前ねぇ、普段から真面目に勉強してねぇ不真面目なやつがクラスで
「泊ってく?」 俺は自分の口から出てきた言葉に驚いた。金狼さんも驚いたようだ。 「あっ、やっ、無理にって言わないよ」 俺は慌てて弁解した。だって明日はテストだしね。そんな場合じゃないよね。 「いいのか?」 金狼さんは驚いたままで聞き返してきた。 「あ、うん。金狼さんがそれでいいならの話だけどね」 俺は門を開けながら答えた。だって無理強いは出来ないもん。 「お前が迷惑じゃないなら泊ってくが…」 金狼さんが苦笑を浮かべる。 「俺は平気。じゃぁ、上がって。俺のベッドだから狭いけどそこは我慢してね」 俺は家の鍵を開けて金狼さんを招き入れた。あっ、これで2回目かも…「お邪魔しま
「明日からテストだからな。しっかり勉強しろよお前ら」 帰りのHRの時に吉田が言ってくる。それを聞きうえぇとか、やだぁとか、色んな声が上がるが、それ以外の連絡事項などはなくて、そのままHRが終わりみんなが好き勝手に帰っていった。俺はとりあえず、明日のテストでやる教科の教科書だけロッカーの中から取り出しカバンにしまった。俺ね、テストの時以外は教科書は学校に置きっぱなしなのさ。宿題も大概が朝、学校に来てから授業が始まる前にやっちゃうからね。本当に俺って不真面目だねぇ。でもさ、俺っていつもこんな感じだから。真面目になんてやってやらない。やっても意味がないもん。「今日から出ねぇんだろ?」 2人
東棟から西棟の教室に戻ろうと思って階段を下りてたら会長さんが壁に凭れて待ってた。 「ごめんね? 俺のせいで会長さんにも迷惑がいっちゃったでしょ?」 俺は小さく笑いながら聞いてみた。俺のとこに来たってことは会長さんの所にも行ったってことだし… 「俺は大丈夫だ。お前は? 大丈夫か?」 会長さんに反対に聞かれちゃったや。 「大丈夫だよ。迷惑かけたのはこっちだしさ。ごめんね?」 俺はぺこりと頭を下げた。間違いなく、俺が起こした行動で彼に迷惑をかけたのだから謝るのは当たり前だからね。 「お前からのごめんは聞かないって言っただろ」 なんて言われてしまった。 「それじゃぁ言葉がないよ会長さ