Masuk学園の前でバスを降り溜め息をつく。いつもの行為。 偽りの織田蒼樹を演じるための行為。「行くか?」 翔太の声に俺は 「う~い」 そう返事をして歩き出す。「あ~蒼樹~だぁ~!」 「織田ぁ~逢いたかったぁ~!」 教室に入るなりみんなからの抱擁。「あ~はいはい。ありがとねぇ」 俺はそれを軽くあしらって自分の席に着く。 「そういえばそれ…。金城が頭になったときに着けてた奴だろ?」 急に翔ちゃんが言う。この人、記憶力いいのよね。意外と… 「ん。前に同じものくれたんだけどさ。自分で着けた方くれたんだよね。大事なもんじゃないのかな?」 俺はそう答える。 「大事だから送ったんじゃねぇの? まぁ仲直りしてよかったというとこかな」 翔太はそう言って俺の頭を撫でる。 「ん。心配掛けてごめん。ありがと」 俺はそう答える。「織田。ちょっといいか?」 急に呼ばれドアの所を見れば拓ちゃん。 「はいは~い。何でしょ?」 俺は拓ちゃんの所に行き聞いてみる。 「臨時要員の仕事。悪いけど放課後までに体育祭のプリント集めてくれないか?」 拓ちゃんはそういう。 「あ~い。了解しました会長」 俺はふざけてそういう。 「馬鹿。頼んだぞ」 軽く俺の頭を叩き教室を出て行った。俺は拓ちゃんに頼まれたとおり 各放課になるとそれぞれのクラスに行って周り「体育祭の実行委員いる? プリント欲しいんだけど?」 俺はそう声を掛ければ 「は~い」 返事をして実行委員の子がプリントを持ってきてくれる。 「ありがとねぇ」 俺はそう告げると次のクラスへと向かっていった。「織田。ちょっといいか?」 全部のクラスを回り終えたとき吉田に声を掛けられた。 「何でしょうか?」 俺はそう聞いてみる。「金城から聞いたが体調はもういいのか?」 そう言われる。 「え? …あ…大丈夫ですよ。だから来たんだけど?」 俺はそう答える。ずっと拓ちゃんが病欠扱いにしてくれてたんだ… 「まだ治らないのか?」 そう聞いてくる。 「治らないんじゃない? もう無理なんじゃない?」 俺はそう答える。多分、無理だろうね…。 「そうか…。あぁ。後で職員室に来い。休んでた分の課題を渡すから」 吉田はそう言って戻っていった。課題か…。めんどくさ…。 でもまぁ自業自得だよな。ずっと
pipipipipipipi 携帯のアラームで目を醒ます。 そこにはやっぱり拓ちゃんの姿はなかった。あれは夢だったのかな?あれは幻だったのかな? 俺はぼーっとする頭のままで下におりていくと キッチンからおいしそうな香りが漂ってきた。急いでキッチンに飛び込んだ。 そこには拓ちゃんがご飯を作っている姿があった。「拓ちゃんおはよ」 俺はそう声を掛ける。 「あぁ。おはよう。もう出来るぞ」 拓ちゃんはそう言って皿に盛り付けている。今日のメニューは野菜炒め。 だって最近、買い出しに行ってないんだもん。 学校サボって引きこもりになってたしさ。本当に外出もしてない。「お前それ全部、食べろよ? 冷蔵庫の中身まともなもん入ってなかったぞ」 なんてやっぱり拓ちゃんに怒られた。 「は~い」 俺は大人しく椅子に座る。 確かにここ最近まともに食べてない。 薬も飲んでない。バレたら怒られるよね。「いただきま~す」 俺はそう言って食べ始めた。勿論、拓ちゃんもね。そしてお決まりどおり片づけまでやってくれました。「今日は学校出てこいよ?」 一度、制服に着替えるために帰る拓ちゃんが言う。 やっぱりサボってたのばれてるのね。 「うぃ」 俺は頷く。拓ちゃんは俺を引き寄せるとそっとキスをして 「学校でな」 そうれだけ言って帰っていった。「ったく。不意打ちすぎ」 なんて言いながらも浮かれてる俺。自分の部屋に戻り制服に着替える。チャリって音がする。首に着けたままになってる拓真からのプレゼント。俺はそれを見てふと気付いた。 「これ俺のじゃない。いつの間に変えたんだろ?」 それは新しかったあのペンダントではなく拓ちゃんがずっと着けていた方のペンダント。 「忍者みたいだよ拓ちゃん。ただ単に俺が気付かないだけか」 俺はそう呟きシャツのボタンをいつもの場所まで嵌めてネクタイをつける。 いつものだらしない格好。 これでA組だって言うんだから最悪だよな。わかっててもちゃんと着ないけどさ。 メガネメガネ~。拓ちゃんの着けてたメガネ。 それを嵌めて変身完了!偽りの織田蒼樹の完成!「さぁ~。今日は説教でも聞きますかね」 多分、吉田からの説教が待ってるだろうな。 1週間もサボったもんな。俺は必要なものをポケットに押し込みカバンを持って部
「GoldWolfの前の頭の人は今どうしてるの?」 俺はふとそんなことを聞く。 「白血病なんだ。ドナーを待ってる。俺の実家が大学病院だからそこで入院中」 うえぇ~! 「拓ちゃんの家って大学病院なの?」 すご…。 「GoldWolfのことを黙ってたのは悪かった。だけど俺はお前が蒼華だから好きなわけじゃない。織田蒼樹だから好きなんだ」 拓ちゃんがそういう。そっか…そうなんだ…「ねぇ…拓ちゃん…気付いてる?」 俺は聞いてみる。 「何をだ?」 拓ちゃんは聞き返してくる。 「誰にも媚を売らない蒼華が唯一媚を売るのが誰か? 二度と同じ相手には抱かれない蒼華が何度も同じ人に抱かれてるのか?」 俺はそう聞いてみる。 「俺のことなのか?」 拓ちゃんが躊躇いがちに聞き返してくる。 「そう。俺さ…あなたの前じゃ蒼華じゃいられない。だって…俺…あなたの愛が欲しいんだ。本当の俺を…闇の蒼樹を愛して欲しいんだ…」 俺はそう答える。無言のまま拓ちゃんがジッと俺を見詰めてる。 「なら問題ない。俺は織田蒼樹が好きだから…俺の愛をお前にやるよ。これからもずっと…」 拓ちゃんはそう言って笑ってくれる。 願い叶っちゃった。でも…俺… 「今のままでいんじゃないのか? お前が納得できるまでさ」 まるで俺の心を見透かしたように拓ちゃんがいう。ホント、翔太並みにわかって来てるよねこの人。 「うん。ありがと。でも…あなたが好き…愛してるのは本当。俺…いつかちゃんとあなたの前で本当の俺を見せたい。本当の俺をちゃんと知って欲しい」 俺はそう告げる。拓ちゃんが俺の頭を撫でて 「待ってる。お前が自分で俺に教えてくれるのを待ってる」 優しく言ってくれる。 「…ねぇ…キスして…拓ちゃんのキス好きだから…」 俺はそうお願いしてみた。拓ちゃんは小さく笑い俺の頬に手を添えそっと唇を重ねてくる。 触れるだけのキス。「…好き…」 唇が触れそうな距離で呟いた。 さよならなんて…おしまいになんてできっこない。「俺も蒼樹が好きだ」 拓ちゃんはそう言って俺をそっと抱き締める。 俺は拓ちゃんの背に腕を回した。「あ~悪いんだけど今度一緒に実家に来てくれないか?」 拓ちゃんが突然そういう。 「ほえ? 何で?」 俺は拓ちゃんの肩に頭を乗せ聞いてみる。 「姉貴がお前のこと
「どうして? …あの人は?」 俺はボケッとしながら拓ちゃんを見る。拓ちゃんは、 「中でゆっくり話さないか?」 冷静に聞いてくる。俺は小さく頷いた。「何か飲む?」 リビングのソファに座った拓ちゃんに聞いてみる。 「いいからこっちに来いよ。全部お前に話すから」 拓ちゃんが言うから俺は大人しくそれに従った。 拓ちゃんは俺の手を掴むと自分の隣に座らせた。「あ…あの女の人は…よかったの?」 今更だけど…つい聞いてしまう。「あぁ、いいんだ。俺の姉貴だから」 拓ちゃんのお姉さん… 「えぇ? お姉さんいたの?」 つい驚いてしまう。 「あぁ、上に姉貴が二人と兄貴が一人な」 拓ちゃんがそう説明をしてくれる。そうなんだ… 暫くの沈黙…「GoldWolfの事は苗代に聞いたのか?」 静かに拓ちゃんが聞いてくる。 「翔ちゃんもだけど…チームの人に拓真が戻るように頼んでくれって…それで初めて知った」 俺は床を見て答える。 「そうか、あいつらお前の所までいったのか…」 拓ちゃんの呆れたような声。 「戻らないの?」 聞いてみる。 「あぁ、戻らない。戻る気はない」 ハッキリと言い切った。「なんでGoldWolfを辞めたの?」 俺は聞いてみる。 「俺がGoldWolfにいたのは高1までなんだ。頭をやってたのも3年だけ。初めは三嶋さんって人がやってたんだけど、病気で入院することになったから俺に頼んできて断れなくてなったんだ」 拓ちゃんがいう。あれ? 「翔太と変わらない? もしかして翔太とは面識あり?」 俺は聞いてみる。拓ちゃんは苦笑を浮かべながら頷く。ノ――――!そんな繋がりがあったのか! あいつ知ってて俺に話さなかったな!「三嶋さんが頭のときから内部で対立が起きててな。争いを好む者と好まない者と…俺は普通に走っていられれば良かったんだ…」 拓ちゃんは小さく息を吐く。 「ねぇ…もしかして…雅たち三人もメンバー?」 俺は聞いてみる。拓ちゃんは静かに頷く。あぁ、だからあんなに親しいし、お互いのことがよくわかるんだ…「俺が頭になった頃から対立がますますひどくなってな、情けないけど荒れまくった。誰彼かまわず喧嘩を吹っ掛けてたんだ。雅たちはそんな俺のこと気にしてて…ただ走ることができないんだったらやめちまおうって他の奴に頭を押し付
夜、俺は久し振りに街に出た。 本当は翔太のところに行こうかなぁ~って思ったんだけどやめてブラブラしてた。 「あの、蒼華さんですよね?」 急に声を掛けられ振り返れば不良さんたち。 ケンカですか? 「そうだけど何? 喧嘩なら買わねぇぞ?」 俺は言い切る。 「違います。少しだけ時間をください。話がしたいんです」 あれ? 違うの? 「まぁ、いいけど…。この先に人のこない路地があるからそこでいいだろ?」 俺はそう言って歩き出した。俺の後を数人の不良さんたちがついてきた。 はて? 俺に一体何の用でしょうかね? 「で? 話って?」 俺は路地から死角になる壁に凭れて聞いてみる。 「金狼さん…金城拓真さんをご存知ですよね?」 拓ちゃん? 「彼が何?」 なんでそんな名前が出るんだろう? 一体、彼がなんだというんだ? 「お願いです、彼にチームに戻るように言ってください」 はっ? 「ちょっと待った…チームって何?」 どういうこと? 「ご存知ないんですか? 金城さんはGoldWolfの前の頭なんです」 拓ちゃんがGoldWolfの頭だった…ZEAと二分するあの暴走族の… 「そ…そんなの本人に言えばいいだろ」 知らなかったよ…拓ちゃん… あなたは何が目的で俺に近付いたんだよ? 俺を陥れるため? 俺を嘲笑ってるのか? 「お願いします。もう、あなたしか頼めないんです。金城さんと親しい人にはみんな頼んだんですけど…全部ダメで…このままじゃ…チームがダメになっちゃうんです」 それを俺に頼むの? この俺に… 「言ってみるけどダメでも知らねぇからな」 俺はそう答える。 もう終わりにしよう。全部。 「ありがとうございます!」 お兄さんたちは嬉しそうに頭を下げる。 「ほいじゃ、そういうことで帰るから」 俺はその場所を後にした… あなたはなんのために俺の前に現れた? なんのために… 俺は夜中に拓ちゃんの携帯に電話をした。 『もしもし? どうした?』 数回のコールの後で拓ちゃんが出た。 「騙してたんだ。拓真がGoldWolfの頭だったなんて知らなかったよ」 俺はそう切り出す。電話越しに息を呑むのが伝わる。 『蒼樹、俺は…』 拓ちゃんの言葉
pipipipipipipipi いつものようにアラームが俺を起こす。 「ん? んん?」 俺はボーっとする頭で鳴り響く携帯を止めようと身体を起こしかけて動きが止まった。 チャリと本来なら俺にあるはずのないモノが首から下がっていた。 俺は飛び起きてそれを見た。 それはいつも拓ちゃんがしていたもので…でも、これはまだ新しい。 俺は部屋を飛び出した。 急いで部屋を飛び出してリビングに行けばそこには拓ちゃんの姿。 「拓ちゃん!」 俺が声を掛ければ拓ちゃんは驚いた顔をして 「おはよう。どうした?」 返事をしながらテーブルに皿を置いていた。 「こ…これ…」 俺は自分の首にかかっているペンダントを見せて聞いた。 「あぁ、それか。本当だったら昨日渡す予定だったヤツ」 拓ちゃんはそう言いながら作業の続きをしている。 「いいの? もらっちゃっても?」 だって…お揃いでしょ? 「バカ、お前の為に買ったんだから当たり前だろ。ほら、できたから食べるぞ」 拓ちゃんはそう言いながら笑う。 「ありがとう」 俺は椅子に座り呟いた。 二人でご飯食べて、片づけも拓ちゃんがしてくれた。 「あ…そうだ、鍵…」 拓ちゃんは思い出したように鍵を差し出してくる。 俺は少し考え 「拓ちゃんがいらなくなるまで持ってていいよ。迷惑じゃないなら…」 答える。 少しでもあなたと繋がっていられるのなら… 「そっか、じゃぁ借りとくな」 拓ちゃんは自分の鍵につけていた。 なんだかそれが照れくさいけど嬉しい。 俺は拓ちゃんの服を掴む。 「どうした?」 拓ちゃんが顔を覗き込んでくる。 「キスしよ? ダメ?」 本当は抱きしめて欲しい。 拓ちゃんはジッと俺の顔を見て頬に手を添えてそっとキスをしてくれた。触れるだけのキスを何度もしてくれた… 唇が離れた途端にグイッて引き寄せられた。俺はそのままの勢いで拓ちゃんの腕の中に倒れ込む。 ギュッと力強く抱きしめられた。 ねぇ…あなたはなんで俺の心の中がわかるの? どうしてほしいことがわかるの? ねぇ…どうして? 俺はそっと拓ちゃんの背に腕を回した。 もっと触れていたい。この人に… 「今日はどうするんだ? 朝会がある
side翔太「はぁ」 蒼樹が教室を出ていって一人溜め息をつく。なんか色々と問題があるんだが、あいつ自身が身動きが取れねぇ状態にある以上、俺はどうしようもない。金城はお前のこと全部知ってんだぜ?この言葉があいつに告げられたら…あいつがその言葉を聞いたら…あいつは少しは楽になるんだろうか?蒼樹がサボるために校内を彷徨い出したのをいいことに、俺は席を立ち隣のクラスへと向かった。特Aクラスの中を覗き 「なぁ、金城いるか?」 扉の近くにいたやつに声をかけてみる。 「金城くん?あぁ、いるよ。金城くん、お呼びだよ」 そいつはすぐに金城を探し出し呼んでくれる。その声にザワッと室内が騒がしく
翔太の優しい声に反応するように顔を上げると額に目元に頬に優しいキスが降りてくる。そして最後に唇に…。 触れるだけの、子供がじゃれ合うような軽いキスを繰り返す。もう一度、額に唇を寄せ 「もう大丈夫か?」 優しい声で静かに聞いてくる。俺はそんな声を聞きながらそっと目を閉じ息を吐く。 「ありがと翔太。もう大丈夫」 翔太のこの行為のおかげで俺はいつも落ち着ける。そしていつもの偽りの俺へと戻れるんだ。 「ねぇ」 躊躇いがちに声をかけられ 「ん?」 二人して声のした方を見る。 「二人とも付き合ってないんだよね?」 雅がそんなことを聞いてくる。 「そうだけど?どうして?」 なんで
結局あの後、色んな書類に目を通して俺の率直な意見を出した。それでいいのかよぉとか思いつつ…。でもまぁ引き受けたものは仕方ないよね?で、俺は結局、寝たままの状態で生徒会の会議に参加したんだ。「動けるか?」 教室から俺のカバンも一緒に持って戻ってきた拓ちゃんが聞いてくる。 「ん、大丈夫」 ググッと背伸びをして答える。 「じゃぁ帰るぞ」 なんて言ってくるから俺はそれに頷き立ち上がる。 「おわぁ」 立ち上がった瞬間グラッとふらつき倒れそうになる。けれど倒れることなく俺は拓ちゃんの腕の中。 「本当に大丈夫か?」 拓ちゃんの眉間に皺が寄る。 「ん、ちょっとふらついただけだから
生徒会室に着くと拓ちゃんは扉に鍵をかけた。ん、まぁ当たり前なんだけどさ。拓ちゃんは俺の手を引きソファに座るとブレザーを脱がしていく。俺は大人しくなすがまま状態。 拓ちゃんの長くてキレイな指が俺のネクタイを外していく。俺はジッと拓ちゃんの様子を見てたけど拓ちゃんの肩に腕を置きキスをせがむ。 グイッて頭を引き寄せられ唇が塞がれる。触れるだけのキスを何度もくれる。ほんとこの人とのキスは気持ちがいい。拓ちゃんはキスをしながらシャツのボタンを外していき胸に触れる。 「んっ、ぁ」 それだけでピクンって感じちゃう。ぁ~もう。この人俺が胸を弱いのわかってるから絶対にわざとやってるよ。拓ちゃん